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電子カルテはクラウド型が主流へ|クリニックの医療DXで押さえたい選び方と2026年の動向

2026/09/25

  はじめに クリニックの医療DXを考えるとき、中心になるのが電子カルテです。近年は「導入するかどうか」よりも、「どの電子カルテを選ぶか」「クラウド型と院内設置型のどちらにするか」「周辺システムとどうつなぐか」という比較が重要になっています。 2026年に公表された調査では、2025年に新規開業したクリニック214件の電子カルテ導入率は97.6%でした。内訳はクラウド型73.1%、オンプレミス型24.5%、未導入2.4%です。新規開業に限った調査ではありますが、クラウド型が大きな割合を占めていることがわかります。 さらに、厚生労働省は医科診療所向けの標準型電子カルテについて、2026年度中の完成を目指して開発を進めています。電子カルテは院内だけで完結するシステムから、医療DXの各種サービスとつながる基盤へ変わりつつあります。今回は、2026年の電子カルテ事情と、クリニックが選定するときに確認したいポイントを整理します。

1.新規開業では電子カルテ導入率97.6%

2026年の新規開業クリニック調査で最も目を引くのは、電子カルテ導入率の高さです。2025年に新規開業した214件では、97.6%が電子カルテを導入していました。新規開業時には、電子カルテを前提に受付や会計などの周辺システムを組み合わせることが一般的になっていると考えられます。 さらに内訳を見ると、クラウド型が73.1%、オンプレミス型が24.5%でした。クラウド型は、院内に専用サーバーを設置せず、インターネット経由で利用する形式です。オンプレミス型は、院内にサーバーなどの設備を置き、院内ネットワークを中心に運用する形式です。 どちらが必ず優れているというわけではありません。院内のネットワーク環境、使いたい周辺機器、既存システム、サポート体制などによって適した構成は変わります。ただし、新規開業のデータを見る限り、クラウド型を選ぶクリニックが現在の主流になっていることは大きな変化です。  

2.なぜクラウド型電子カルテが増えているのか

クラウド型が増えている理由の一つは、院内に大きなサーバー設備を持たずに導入できることです。新規開業では、内装、機器、ネットワーク、予約、会計など多くの準備を同時に進めます。電子カルテ用のサーバー構築や保守を小さくできることは、導入時の負担を整理しやすい要因になります。 また、クラウド型ではサービス提供側が機能更新を行うため、新しい機能が追加される場合に院内で大がかりな作業が不要なケースがあります。複数の端末から使える構成や、外部の予約システム、Web問診、決済サービスなどと連携しやすい製品も増えています。 一方で、インターネット接続が前提になるため、通信環境が不安定なときの運用や、障害時の代替手順を確認しておく必要があります。クラウド型という言葉だけで安心せず、利用できない時間が発生した場合にどうするか、バックアップやサポートがどうなっているかを事前に確認することが重要です。 選ぶときは「クラウドかオンプレミスか」だけで終わらず、実際の院内業務に合う構成かを見ることが大切です。  

3.2026年は「標準型電子カルテ」にも注目

2026年の電子カルテで注目したいもう一つの動きが、医科診療所向けの標準型電子カルテです。厚生労働省は、クリック操作を基本にしたシンプルな画面設計のシステムを2026年度中に完成させることを目指しています。 この標準型電子カルテは、国が進める医療DXサービスとの接続を意識して開発されています。電子カルテ情報共有サービスに対応し、他の医療機関から提供された情報を確認したり、自院の情報を登録したりする機能が想定されています。また、電子処方箋への対応など、今後の医療DXに必要な機能とのつながりも重視されています。 ここで重要なのは、すべてのクリニックが同じ電子カルテを使うという意味ではないことです。むしろ、電子カルテに求められる基本的な機能や外部サービスとの接続方法が整理されていくことで、今後は「どのシステムとつながるか」がさらに重要になります。 新しく電子カルテを選ぶ場合も、現在の機能だけではなく、将来の連携に対応しやすいかという視点が必要になります。

4.電子カルテ選びで確認したい5つの項目

一つ目は操作性です。日常的に何度も使うシステムなので、画面の見やすさ、入力の流れ、検索のしやすさを実際のデモで確認します。説明を聞くだけではなく、普段の業務を想定して操作することが大切です。 二つ目は周辺システムとの連携です。予約、Web問診、受付、会計、オンライン資格確認など、すでに利用しているシステムや今後導入したいサービスと接続できるかを確認します。 三つ目は費用です。初期費用と月額料金だけでなく、端末追加、データ保存、連携オプション、保守、設定変更などの費用まで含めて比較します。四つ目はサポートです。問い合わせ方法、対応時間、遠隔対応の有無、障害時の連絡先を確認します。 五つ目はデータ移行です。現在使っている電子カルテから変更する場合、どのデータを移せるのか、過去データをどのように閲覧するのか、移行期間中の運用をどうするのかを早い段階で確認します。 電子カルテは長く使うため、導入価格だけで決めず、運用全体の手間まで含めて比較することが重要です。

5.電子カルテ導入を「院内DXの起点」にする

  電子カルテを新しくしても、受付で紙に記入し、スタッフが再入力し、会計でも別の画面へ同じ情報を入力していると、DXの効果は限定的です。電子カルテの本当の価値は、院内の他の業務とつながったときに大きくなります。 例えば、Web予約の情報が受付へ反映される、Web問診の内容を電子カルテで確認できる、会計システムへ必要な情報が連携されるといった流れを作れば、同じ内容を何度も入力する作業を減らせます。 そのため、電子カルテを選ぶときは、現在使っているサービスだけでなく「今後どの業務をデジタル化したいか」も整理しておくと選びやすくなります。数年後に予約やAI音声入力を追加したい場合、そのサービスと連携できるかどうかで使い勝手が変わります。 電子カルテは単独のシステムではなく、クリニックDXの中心に置かれる基盤です。導入をゴールにせず、受付から記録、会計までの流れを少しずつつなぐ視点が重要になります。       おわりに 2026年の新規開業クリニックでは電子カルテ導入率が97.6%となり、そのうちクラウド型が73.1%を占めています。電子カルテは「導入するもの」から「院内DXの基盤としてどう選ぶか」を考える段階へ移っています。 さらに、2026年度中の完成を目指す標準型電子カルテなど、国の医療DXサービスとの接続を前提にした動きも進んでいます。今後は画面の使いやすさや価格だけでなく、外部サービスとどのようにつながるか、データをどう移行できるか、導入後のサポートが十分かという点がますます重要になります。 電子カルテ選びで失敗しないためには、現在の業務だけを見るのではなく、数年先のクリニック運営を想像することが大切です。予約、問診、会計、AIなど、今後使いたい機能まで含めて全体像を描くことで、電子カルテを中心とした無理のない医療DXにつなげやすくなるでしょう。