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2026年は“実装の年”へ――2025年との比較で読む医療DXの転換点

2026/03/03

  医療DXはここ数年、「導入の是非」から「いかに実装し、成果を出すか」という段階へと確実に歩みを進めている。 とりわけ2025年と2026年は、工程表上も位置づけが大きく異なる重要な連続年である。 本稿では、政府の「医療DX工程表」(内閣官房)および厚生労働省資料を根拠に、その違いを整理する。

1.電子処方箋:普及目標の年から、実効性確保の年へ

電子処方箋は、医療DXの象徴的な取り組みの一つである。内閣官房の工程表では、「2025年3月までに普及させる」と明確な期限が示されている。
つまり2025年は、普及目標の“到達期限”を迎える年であった。
しかし、厚労省資料(2025年7月1日公表)によれば、薬局での運用開始は8割を超える一方、医療機関側の導入は1割程度にとどまるとされている。
そこで示されたのが、「電子カルテや情報共有サービスと一体的に導入を進める」という方向性である。
この流れを踏まえると、2025年が「普及目標の達成状況を確認する年」であるのに対し、
2026年は「医療機関側の本格実装をどう進めるか」という実効性確保の年と位置づけられる。
単なる導入数の達成から、実運用を前提とした仕組みの再設計へと軸足が移る。

2. 標準型電子カルテ:設計の年から完成目途の年へ

医療DXの中核となる標準型電子カルテについても、2025年と2026年では明確な段階差がある。 厚労省資料では、2025年度中に「本格運用の具体像を示す」とされ、さらに診療所向け電子カルテの標準仕様(基本要件)を策定することが明記されている。 また、2025年3月からモデル事業(α版)が実施予定とされている。 一方で、「2026年度中を目途に完成を目指す」とも記載されている。 つまり2025年は、仕様策定とモデル検証の年であり、2026年は標準型電子カルテを完成段階へ持っていく年という整理になる。この違いは大きい。 2025年は“理想形を描く”年、2026年は“それを全国で使える形にする”年である。 医療機関やベンダーにとっては、2026年を見据えた準備が2025年中から求められる。  

3. 診療報酬改定DX:モデル事業から本格提供へ

診療報酬算定の共通算定モジュールについても、工程表では2025年度にモデル事業を実施し、2026年度に本格提供すると明記されている。
これは、診療報酬改定に伴うシステム改修負担を軽減するための重要な取り組みである。
2025年は試行・検証フェーズ、2026年は実装フェーズという明確な段階移行が予定されている。
ここから読み取れるのは、2026年が単なる制度改正の年ではなく、「システムとして安定運用が始まる年」だという点だ。
制度とシステムが本格的に結びつく節目といえる。

4.全国医療情報プラットフォーム:先行から全国展開へ

医療・介護情報の連携基盤についても、2026年度から全国実施と明記されている分野がある。
2024年度から開発・先行実施を進め、2026年度から本格的な全国展開に入るという工程である。
2025年は準備と部分展開の年、2026年は本格展開の年。この構図は他分野とも共通している。

5.2025年は「節目」、2026年は「実装」

以上を総合すると、両年の違いは次のように整理できる。
【2025年】
・普及目標の期限を迎える
・モデル事業を開始する
・標準仕様を策定する
→「節目」「設計」「検証」の年
【2026年】
・本格提供に移行する
・完成目途を迎える
・全国実施に入る
→「実装」「定着」「展開」の年
医療DXは、長らく「導入すること」が議論の中心だった。しかし2026年は、
「使いこなせるか」「経営や地域医療にどう活かすか」が問われる局面に入る。これは単なるシステム更新ではない。
業務設計、職員教育、地域連携の再構築まで含めた組織変革である。

おわりに

2025年は、多くの目標やモデルが提示される“転換点”の年だった。そして2026年は、それらが現場に定着するかどうかの“試金石”となる。 医療DXはもはや未来構想ではない。2026年は、「構想を語る段階」から「成果を問われる段階」へ移る年である。   今求められているのは、制度の動向を追うことだけではなく、自院・自組織がどの位置に立っているかを冷静に見極める視点だろう。 工程表が示すスケジュールは明確だ。あとは、現場がどう動くかにかかっている。